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【節税】役員・従業員がスーツ代等を経費にできる
特定支出控除とは?
(殆ど適用できない…)

執筆日:2018年11月29日(木)

以前のコラムで解説した通り、

スーツ代等を会社が負担しても会社の経費にはなりません。

 

が、、

 

役員・従業員(会社員)がスーツ代等を自費で支払った場合、

役員・従業員個人の所得税を安くする「特定支出控除」

の検討の余地があります。

 

が、ハードルが高すぎる上に、要件を満たしても控除額が少ないので、

この「特定支出控除」の制度は殆どの方にとって、使い物になりません。。

 

今回のコラムでは、この使えない「特定支出控除」の仕組みと

なぜ使いにくいのかを中心に解説していきます。

 

 

 1.特定支出控除とは?

  1-1.概要

  1-2.経費申請の対象となる支出は?

 2.特定支出控除の要件

  2-1.要件① 会社の証明書が必要

  2-2.要件② 確定申告が必要で領収書の添付が必要

  2-3.要件③ 一定額以上じゃないと控除できない!

 3.特定支出控除額は?いくら節税になる?

 4.どんな人なら特定支出控除を使えそう?

   5.まとめ

 

1.特定支出控除とは?

 1-1.概要

特定支出控除とは、

役員・従業員(会社員)の個人の所得税を安くできる制度です。

 

会社のために、自費で、職務に必要な資格取得・スーツ代等々の

対象支出を一定額以上支払った場合、

役員・従業員の個人の所得税等を安くすることができます。

 

(この一定額のハードルが高いため、適用は殆ど限られます。。)

 

 1-2.特定支出控除の対象となるものは?

いくら、会社の勤務のためであっても、

全ての経費が特定支出控除の対象にはなりません。

実際には、下記に限られます。

  • イ)通常必要である通勤費(自費部分のみです。以下同じ)
  • ロ)転居に伴う転居費用
  • ハ)職務に直接必要な研修費
  • ニ)職務に直接必要な資格取得費
  • ホ)単身赴任の場合の自宅と赴任場所等の間の帰宅旅費
  • ヘ)職務に関連する図書費(※)
  • ト)勤務場所で着用が必要な衣服代(スーツ代等)(※)
  • チ)取引先等の交際費等(※)

※ へ)図書費・ト)衣服代・チ)交際費は合計65万円が限度です。

2.特定支出控除の要件は?

 2-1.要件1 会社の証明書が必要

まず、特定支出控除の適用を受けるにあたっては、

会社の証明が必要です。

 

例えば、スーツ代等であれば、下記証明書を会社に記入・押印してもらう

必要があります。

出典:国税庁

 2-2.要件2 確定申告が必要で、領収書を添付

通常、会社員等は、年末調整(会社員用の確定申告のようなイメージです)を

行えば、確定申告する必要はありません。

 

しかし、この『特定支出控除』を適用する場合には、

確定申告が必要です。

 

さらに確定申告の際には、領収書を添付する必要があります。

 2-3.要件3 一定額以上じゃないと控除できない!

「特定支出控除」は、給与所得控除額というものの1/2を超えないと

控除できません。

 

給与所得控除は、下記でざっくり決まります。

出典:国税庁

例えば、年収600万円とします。

 

すると、給与所得控除額=600万円×20%+54万円=174万円です。

 

特定支出控除で節税するには、

給与所得控除額×1/2=87万円を超える必要があります。

 

 

年収600万円の場合、手取は、

社会保険料、住民税、源泉所得税を差し引いて凡そ460万円です。

手取の1/6以上を(会社が負担しない)資格代やスーツ代等に使う方は

どれほどいるのでしょうか・・

 

要件だけで、領収書をためる気力がそがれてしまいますが、

特定支出控除が使いにくい理由は「控除額」にもあります。

3.特定支出控除額は?

特定支出控除=

支出額 - 給与所得控除額 × 1/2

 

です。

 

例えば、年収600万円の人が、要件を何とか満たしてスーツ代等100万円

かき集めたとします。

 

この場合、

特定支出控除額は、100万円 - 給与所得控除額174万円 × 1/2

13万円ですね。

 

注意すべきは、この「特定支出控除」は所得を減額します。

 

税額がそのまま13万円減るのではなくて、

所得が13万円減額します。

使いにくい特定支出控除ですが、

下記の方であれば、比較的使いやすいのではないでしょうか?

年収600万円で所得税率が10%程度だとすると、

 

この13万円所得の減額で、実際税率を乗じて

税金に換算すると、所得税は1万3000円へることになります。

 

その他に住民税も減りますが、合計でも3万円に届きません。

 

100万円もスーツ代や資格等をかき集めて、要件を満たしても

減る税金は3万円に届かないのです。

 

適用できるケースは限られますね

4.どんな人なら特定支出控除を使えそう?

使いにくい特定支出控除ですが、

下記の方であれば、比較的使いやすいのではないでしょうか?

  • 高額所得者

  年収1000万円超になると、給与所得控除額が220万円で固定になります。

  つまり、それ以上収入が上がっても、特定支出控除額の最低ラインは110万円で

  固定化されるためです。

 

  • 弁護士・会計士・税理士などの資格取得を目指している方

  これらの士業の資格取得費用は比較敵高額です。

  これらの支出と、スーツ代等が組み合わせれば、特定支出控除額を適用できる方も

  いるかと思います。

 

但し、この特定支出控除を適用するためだけに、無駄に出費を重ねる事は、

「節税」ではなく、「無駄遣い」です。

(個人側でのキャッシュはむしろ減ります。)

 

資格取得費用だけでラインに達した場合に、

スーツ代等を数着購入する分にはありですが、

この規定の節税効果を受けるために自分にとって不必要分まで

購入すると結果的に損しますので注意しましょう!

5.まとめ

以上が、「役員・従業員がスーツ等を経費にできる特定支出控除とは?」のまとめとなります。

 

要件のハードルが高い上に、要件を満たしても、

控除額が少なすいので、適用できる方は限られてしまいますね。

 

仮に適用できても使いすぎに注意しましょう。

 

今回のコラムは以上となりますが、

ご不明点やご質問等があれば、お気軽にこちらよりご連絡ください。

 

【この記事の執筆者】

 

税理士 大栗 崇一郎

    (おおぐり そういちろう)

 

大学卒業後、国税3法を含む税理士試験に25歳で官報合格。

東京都内の複数税理士法人にて約6年間業務に携わった後に独立。

現在は東京都・埼玉県を中心に会社支援・会社税務に特化した税理士事務所の代表を務める。

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