税理士事務所 IBEE
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執筆日:2019年7月26日(金)
東京都東村山市の税理士事務所IBEEの大栗です。
今回も「ふるさと納税」についてのコラムです。
「ふるさと納税」のネックは、原則「確定申告」が必要になることです。
特に確定申告になれないサラリーマン等の方は、
ふるさと納税のためだけに、確定申告をするのは面倒くさいですね。
そんな方のために
「ワンストップ特例申請」という制度があります。
この制度を利用すれば、確定申告が不要になります。
今回のコラムでは、
「ふるさと納税」を確定申告する方法と
「ワンストップ特例申請」について解説していきます!
2-2.「ワンストップ特例制度」の場合、税金はどう減額される?
2-4.確定申告をすると、「ワンストップ特例制度」は無効に!
以前のコラムで解説したとおり、「ふるさと納税」を行った場合、
そのまま何もしなければ、税額は減額されません。
「ふるさと納税を行ったよ」と、自身からアクションを起こす必要があります。
つまり、原則、確定申告が必要です!
例えば、2019年9月に10万円のふるさと納税を行ったとします。
「ふるさと納税」を行うと、
「返礼品」と「寄付金受領書」がもらえます。
この「寄付金受領書」を用いて、
確定申告を2020年3月頃に行います!
この「確定申告」で、まず所得税が
「ふるさと納税による所得税の減税額分」が控除されます。
自営業等で減額後、納付となる方は、
ふるさと納税で減額後の所得税を納付します。
サラリーマン等で還付になる方は、2020年4月中旬前後に還付がされます。
その後、住民税については、2020年5月~6月にかけて、
「住民税の決定通知書」が届きます。
「住民税の決定通知書」には、1年間分の住民税が記載されており、
毎月(又は毎期)納付すべき住民税が記載されています。
この住民税は、「ふるさと納税」で減額後の金額になっています。
(1)所得税 → 所得税を減額
(寄付金額 - 2,000円)×所得税率×1.021
(2)住民税(原則部分) → 住民税を減額
(寄付金額 - 2,000円)×10%
(3)住民税(特例部分) → 住民税を減額
(寄付金額 - 2,000円)×(100% - 10% -所得税率×1.021)
(1)+(2)+(3)=「ふるさと納税」による減税額
確定申告する場合の、確定申告の記載例をお見せします。
まず、確定申告書第一表ですが、
左下に、「寄付金控除」を入力する所があります。
ここは、「寄付額-2,000円」(※)を記載します。
図は10万円をふるさと納税した場合です。
※寄付金額が所得税の限度(第一表⑤欄×40%)を超えていると、
限度額を記載しますので、注意しましょう。
続いて第二表です。
少し見にくいのですが、赤マーカーの所に、
「実際に寄付した金額」を記載しましょう!
複数の所に寄付した場合、
〇〇市、△△市という風に記載します。
サラリーマンの方等で元々確定申告する必要がない人が
「ふるさと納税」のためにだけ、わざわざ慣れない確定申告を行うのは、
面倒くさいですよね。
そんな方のために、「ワンストップ特例申請」というものがあります。
「ワンストップ特例申請」を行えば、
面倒な確定申告を行う必要がありません!
「ワンストップ特例申請」の方法は、
ふるさと納税の寄付をした自治体宛てに、寄付の都度、
を送るだけです!
まずは、簡単な方の「身分証等」から説明します!
「マイナンバーカード」の表裏のコピーでOK!
「通知カード」のコピー+「その他身分証」でOK!
「個人番号記載の住民票」+「その他身分証」でOK!
続いて、面倒な方の「寄附金税額控除に係る特例申請書」の解説です。
私が書いた記載例とともに下記に掲載します。
原本の書類だけみると「うわぁ…面倒くさい」と思われるかもしれませんが、
実際に記載例通りに記入すると簡単です。
そして、確定申告を行うより絶対に楽です!
ちなみにこの「ワンストップ特例申請」は、
寄付をした年の翌年1月10日が期限になりますので、
それまでに送付しましょう!
また寄付する度に送付が必要ですので注意しましょう。
送付をした後は、受け取りましたよーという
「受付書」が返送されます。
「ふるさと納税」を確定申告した場合、
「所得税」と「住民税」がそれぞれ控除されます。
「ワンストップ特例」の場合、「所得税」は控除されません。
「所得税」は控除されませんが、「所得税」分を上乗せして、
住民税を減額することになります。
「ワンストップ特例申請」の場合の減税額の計算式を見てみましょう
(1)住民税(原則分) → 住民税が控除
(寄付金額 - 2,000円)×所得税率×1.021
※総所得金額×40%が限度
(2)住民税(特例部分) → 住民税が控除
(寄付金額 - 2,000円)×(100% - 10% -所得税率)
※住民税所得割×20%が限度
(3)住民税(申告特例控除部分) → 住民税が控除
(2)×課税所得に応じた一定の割合
(1)+(2)+(3)=減税額
の部分の税金が減ります。
「1-1.確定申告を行った場合の減税額」で記載した計算式と比較すると、
所得税の減税額の計算式が消え、
新たに、住民税(申告特例控除部分)というものが増えましたね。
合算すると、「確定申告の場合」でも「ふるさと納税」の場合でも
通常は同じ金額になります。
要するに、
確定申告を行う → 「所得税」と「住民税」の2つの税金が減額される。
ワンストップ特例申請を行う → 全額が「住民税」で減額される
ことになります。
下記に該当する方は、「ワンストップ特例申請」が利用できないため、
必ず確定申告を行いましょう!
個人事業主、不動産所得がある方、年収2000万円超のサラリーマン、
一定額以上の2箇所給与があるサラリーマン、医療費控除を適用したい人、
副業の仮想通貨等で20万円超稼いだ人、等々が該当します。
異なる6以上の「自治体」にふるさと納税をした場合は確定申告が必要です。
同じ自治体に2箇所以上寄付した場合は1自治体としてカウントします。
たまに、「ワンストップ特例申請」をしたにもかかわらず、
確定申告が必要な事に気づき、確定申告をされる方がいます。
この場合の注意点として、
確定申告を行うと、「ワンストップ特例申請」の内容が無効になります。
「ワンストップ特例申請に記載したから別に書かなくていいよね」って
確定申告書に記載しないと、確定申告をした時点でワンストップ特例申請分は
無効になるため、結果、ふるさと納税はなかったものとして
所得税・住民税も計算されますので、注意しましょう!!
つまり、確定申告書には、必ず「ふるさと納税分」を記載しましょう!
記載例は「1-2.確定申告書の記載方法」のとおりです。
以上が、「ふるさと納税のワンストップ特例とは?確定申告が不要に!」となります。
サラリーマンの方は確定申告が不要の方が多いので、
ワンストップ特例申請を適用した方が楽です。
役員の方は、元々確定申告が不要の方もいれば、自社に事務所を貸していたり等
必要な方もいますが、
不要であれば、ワンストップ特例申請を適用した方がいいです。
以前のコラムで、「役員が確定申告が必要な場合」を纏めておりますので、
ぜひそちらもご参考ください!
税理士 大栗 崇一郎
(おおぐり そういちろう)
大学卒業後、国税3法を含む税理士試験に25歳で官報合格。
東京都内の複数税理士法人にて約6年間業務に携わった後に独立。
現在は東京都・埼玉県を中心に会社支援・会社税務に特化した税理士事務所の代表を務める。
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