税理士事務所 IBEE
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執筆日:2019年4月3日(水)
東京都東村山市の税理士事務所IBEEの大栗です。
結構前に(2018年7月頃)に、会社のメジャーな節税のひとつとして、
倒産防止共済を解説させて頂きました。
余談ですが、この記事を書いた頃は「そうだ!税務コラムを立ち上げよう!」
と考えた当初に執筆したコラムのひとつでして、色々初々しいです。
(今もですが)
今回のコラムでは、改めて倒産防止共済の節税を解説するとともに、
応用編として、前回のコラムでは書ききれなかった応用や小技も
解説していこうと思います。
2-6.グループ会社がある場合は、グループ会社毎に加入出来る!
おさらいとして、倒産防止共済について
再度簡単に纏めてみました!
ちなみに、設立1期目は加入出来ませんので注意しましょう!
倒産防止共済の制度は、
毎月一定額の積立を行い、将来任意解約等をすると、
積立額が原則全額が返ってくる「定期積金」と似たイメージです。
積立額は、毎月5千円~20万円の範囲で支払(積立)を行い、
累計積立ての限度は800万円に達した時点で終わりです。
その後は、任意解約してもよし、
積立額を解約しないでそのままプールしててもよしです。
解約時の注意ですが、任意解約の場合は、
40ヶ月以上積み立てないと全額返ってきません。
任意解約 → 会社の都合で解約すること
機構解約 → 掛金滞納等で、機構側から解約させられること
みなし解約 → 会社が倒産や解散等した場合
です。
「定期積金」との最大の違いは、
毎月の積立額がそのまま経費になるという事です。
ちなみにですが、元々「倒産防止共済」は取引先が倒産した場合に
債権が回収できない事により連鎖倒産が発生することを
防止するために、生まれた制度です。
そのために、
万一取引先が倒産した場合に、債権が回収できずにピンチに陥った場合、
積立額に応じて、無担保・無保証で多額の貸付も行ってくれます。
取引先が倒産しなくても、条件や貸付額は変わりますが、
一般貸付も行ってくれます。
「定期積金」とよく似た制度ですが、
毎月の積立額が経費になり、積立額に応じて貸付も応じてくれる
小回りの利く制度です。
「倒産防止共済」は、毎月一定額を積み立てを行います。
「倒産防止共済」が節税と呼ばれている所以は、
この毎月の積立の全額が経費になるのです。
2020年3月決算の法人が、2019年12月に加入したとします。
(毎月20万円)
この場合、2019年12月~2020年3月までの積立額は、
20万円×4=80万円が経費になります。
また、この「倒産防止共済」は非常に小回りがききます。
決算間近になって多額の利益が残った場合、
駆け込みで1年分を前払いすることで、1年分を経費に落とすことができます!
先ほどの例でいえば、
2020年3月加入時に1年分240万円を前払いすると、
1年分が経費におちます!
上記だけ見ると「めっちゃ良い制度だなぁ~」て思いますよね。
しかしながら、解約時に注意が必要です!
積立時には、全額が経費になります。
では解約時はどうなるのでしょう?
答えは、解約時には全額課税されます。
予めはっきり書いておきますが、
積立時に経費算入、解約時にそのまま課税されるのであれば、
「倒産防止共済」は全く節税ではありません!
幸いにも「倒産防止共済」は法人契約の保険と違って
任意解約のタイミングが選べます。
(任意解約の場合は40か月以上積立が必要です)
任意解約せずに、そのまま寝かしておくことも可能です!
解約のタイミングや対策を行ってこそ、
初めて「節税」と呼べますので注意してください。
ある程度の黒字の年に何も対策せず、任意解約したところで、
「節税」ではなく、むしろ損をするケースもあります。
詳しくは、「2-2.任意解約のタイミングへ」
「倒産防止共済」は上記以外にも、資金難になったときに
お金を貸してくれます!
貸付の種類として、「1.一時貸付」「2.共済金貸付」の2つ
にわかれます。
「倒産防止共済」は、単に資金繰りに困ったときに、事業資金として
「一時貸付」という形でお金を貸してくれます。
執筆日の2019年4月3日現在の利率は「年0.9%」と低利率です。
そして借りれる金額は、下記になります。
上記表でいえば、今までの累計積立額が800万円の場合、
760万円まで借入を行えます。
「共済金貸付」とは、取引先が倒産等して、債権が回収できなくなった場合に
「一時貸付」よりも多額のお金を貸してくれます。
取引先の倒産等とは、厳密には
法的整理や銀行取引停止処分(不渡り2回)です。
そして、「無担保」「無保証人」「無利子」で貸してくれます。
①回収不能債権の額 ②掛金総額(積立額)の10倍 のいずれか少ない金額
極端な話ですが、
取引先が倒産して、債権1億円が回収できなくなりました。
今までの「倒産防止共済」の積立額は1億円です。
この場合、
①回収不能債権 1億円
②掛金総額800万円の10倍 = 8000万円
①>②の8000万円まで借りれます。
これだけ聞くとめちゃくちゃ便利ですが、
この「共済金貸付」を行うと、デメリットが大きいので、
最終手段にしておきましょう
詳しくは「2-5.共済金貸付は極力受けない!」をご参照ください。
通常であれば、
年払いで決算月に240万円を経費算入する会社が殆どです。
しかし応用を使えば、240万円を超えて経費算入することができます!
その方法とは、期中に月払いで加入し、期末に1年分を前納するという
やり方です。
文章ではわかりにくいので、図で説明します。
2020年3月期の会社が、
2019年4月に月払いで加入します。
この場合、2019年4月~2020年2月までの積立額は
20万円×11ヶ月=220万円ですね。
更に、2020年3月に1年分を前納すれば、
+240万円が経費になります。
つまり、
220万円+240万円=460万円が経費になります!
この方法の注意点として、
昨年度年払いしている場合には、使えませんので注意しましょう。
任意解約のタイミングによっては、
「倒産防止共済」は全く節税になりませんので、注意しましょう!
下記、STEP1~STEP5(事業年度毎)に分けて解説します!
倒産防止共済加入により、240万円経費に落として、
初年度の利益は560万円(=800万円−240万円)
になります。
これにより、初年度の税金は約60万円減ります!
2年目も1年目と同じ利益で、同じ倒産防止の金額で設定です。
倒産防止共済により、240万円経費に落として、
2年目の利益は560万円(=800万円−240万円)
になります。
これにより、2年目の税金は約60万円減ります!
3年目も1~2年目と同じ利益で、同じ倒産防止の金額で設定です。
倒産防止共済により、240万円経費に落として、
3年目の利益は560万円(=800万円−240万円)
になります。
これにより、3年目の税金は約60万円減ります!
4年目も1~3年目と同じ利益ですが、4年目で倒産防止共済が
積立限度(累計800万円)に達してしまいます。
4年目は残りの枠、80万円のみ積立です。
倒産防止共済により、80万円経費に落として、
3年目の利益は720万円(=800万円−80万円)
になります。
これにより、4年目の税金は約20万円減ります!
ここで、累計で減った税金をカウントしましょう!
1年目60万円+2年目60万円+3年目60万円+4年目20万円
=200万円の税金が4年間で減りました!
さて、いよいよ次は解約です!
5年目も1~4年目と同じ利益800万円で設定です。
倒産防止共済の任意解約により、800万円が戻ってきて収益計上されます。
任意解約時の5年目の利益は1600万円(=800万円+解約金800万円)
になります。
これにより、税金はいくら増えるでしょう?
答えは、任意解約の5年目の税金は約295万円増えます!
加入初年度~4年目までのTotal 倒産防止共済800万円の積立で、
200万円税金がへりました。
加入5年目の倒産防止共済800万円の解約で、
295万円税金が増えました。
倒産防止共済で、800万円積み立てて、解約時に800万円が返ってきて、
掛金の収支はプラスマイナス0円ですが、
税金でTotalで95万円の損をします。
なぜ、損になるかというと、
会社の税金は、利益800万円の壁があり、
利益800万円を超えると税率があがってしまうためです。
下手に任意解約するぐらいなら、そのまま積み立てて
不足の事態や将来の計画に備えましょう。
想定以上に赤字が出た年度に解約すれば、
事業の赤字と相殺できます。
例えば、税務上の赤字800万円に倒産防止共済800万円を解約すれば、
利益0円となり、利益に対して課税はされません。
そのまま任意解約せずに積み立てておいて、
役員退職金等で相殺するのもありです。
役員退職金は所定のルールや金額を守れば、全額経費に落とせます。
家族経営の場合、経営者本人じゃなくてもOKです。
倒産防止共済は一度解約しても、
解約金が入金された後であれば、再度加入することができます!
これは、同一の事業年度内でもOKです!
例えば、2020年3月決算の会社が、
2020年1月に解約して800万円を受取ります。
その後、2020年3月に倒産防止共済に新たに加入して、
1年分240万円を前納した場合、
差額560万円(800万円−240万円)が利益になります。
これは、赤字の場合の利益調整に使えます。
「前納減額金」とは、
倒産防止共済を年払い等で前納すると、一部がキャッシュバックされます。
このキャッシュバックが「前納減額金」というイメージです。
毎年3月締め時点で計算し、6月に振り込まれます。
近年に制度改正があった関係で、大分少なくっていますが…
掛金月額×0.9/1000×前納月数の累計額
ちなみに、制度改正前は、「0.9/1000」ではなく、
「5/1000」です。
全然違いますね…。
取引先の倒産等により、債権が回収不能になった場合には
①回収不能債権の金額 ②積立額×10倍
のいずれか少ない金額まで貸付を行ってくれます。
「無担保」「無保証人」「無利子」で貸付を行ってくれます。
この取引倒産による貸付は、「共済金貸付」といいます。
とても魅力的ですが、
この「共済金貸付」を受けると、
「共済金貸付額×1/10」の掛金の権利が消滅します。
つまり、将来解約したときに受け取れる解約金のうち、
「貸付金×1/10」がなくなってしまいます。
例えば、累計積立800万円の会社が共済金貸付8000万円をうけたとします。
8000万円×1/10=800万円の掛金の権利が消滅します。
即ち任意解約した場合の解約金が800万円ですので、
解約しても、お金は返ってきません。
(解約金800万円 − 倒産貸付8000万円×1/10=0円)
グループ会社の場合は、会社ごとに加入が可能です!
グループ単位ではなく、会社単位です。
ちなみに、積立限度額も会社ごとに800万円です。
以上が、「倒産防止共済の応用と小技!」となります。
以前解説したものと一部重複しますが、
より具体的に解説しました。
特に解約のタイミングは「顧問税理士」とよく相談しましょう!
今回のコラムは以上となりますが、
ご不明点やご質問等があれば、お気軽にこちらよりご連絡ください。
税理士 大栗 崇一郎
(おおぐり そういちろう)
大学卒業後、国税3法を含む税理士試験に25歳で官報合格。
東京都内の複数税理士法人にて約6年間業務に携わった後に独立。
現在は東京都・埼玉県を中心に会社支援・会社税務に特化した税理士事務所の代表を務める。
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